マドリード・29歳・さくら

マドリード・29歳・さくら
目次

プロフィール

名前さくら
渡航先スペイン・マドリード
渡航時の年齢29歳
渡航前の職業IT企業の営業/事務、WEBマーケター
渡航資金50万円
渡航時の語学力英語・スペイン語共にあいさつ程度
渡航時の滞在方法シェアハウス
語学学校の期間なし


ワーホリのきっかけ

スペインへのワーホリは大学生時代からの目標でした。

元々英語が好きで外国語大学へ進み、英語を一生懸命勉強していましたが、第2言語で触れたスペイン語の面白さにのめり込み、大学3年時に夏休みを利用して、単独で留学。


その際に感じたスペイン、またスペイン人の底抜けの明るさ、優しさ。

バスでたまたま乗り合わせただけでもうお友達のように接してくれる距離感の近さやお店で困っていると「何が欲しいの?」と声をかけてくれて一緒に商品を探してくれる面倒見の良さ。

全てが魅力的で、日本にいると自分の意見をなかなか言えず、周りの目を気にしすぎてしまう私には、なんて開放的で居心地のいい国なんだ、と、たった1か月半の期間でしたがスペインが大好きになりました。

当時はまだワーホリは社会人が行くもの、という認識が広くされていたため「私も大学を卒業して3年くらい働いたらスペインへワーホリに行こう」と自然と思うようになりました。


スペイン・マドリードを選んだ理由

スペイン・マドリードを選んだ理由

学生時に選んだ都市は、スペイン第三の都市といわれる海沿いの街・バレンシア。

海があって海鮮が豊富、水がおいしいからご飯も果物も飲み物も全てがおいしくて舌の肥えた日本人にはぴったりな住み良い街でした。

街の大きさも、大きすぎず、小さすぎず。自転車での移動も簡単で、当時、私はバスと自転車の乗り放題券をそれぞれ買い、その時の気分でどちらかを選んで学校まで通っていました。


ワーホリでもう一度スペインへ行くと決めてから、最初に思い浮かんだのはもちろんバレンシアでした。

でも、せっかくなら他の都市も候補に入れてみようと思い、各都市について調べました。

実際にワーホリに行っている人のX(旧Twitter)やブログで情報収集して絞ったのは、自分に馴染みのあるバレンシア、首都マドリード、そしてスペイン最大の観光都市であるバルセロナの3つ。

その3つからどこを選ぶかを決めるのはなかなか時間がかかりましたが、最終的には1年という長期間住む間にもし何かあったら、できるだけ日本人がたくさんいる所が安心だろう、という理由でマドリードに決定。

実際、日本からの荷物の受け取りでうまくいかなかった時に、バルセロナからマドリードまでに荷物を取りに行かされた、という話もききましたし、万一の時には、日本大使館があるマドリードが一番安全で安心だったと思います。


渡航当初の様子

渡航してすぐ、空港を出る時に「あ、もう私は一人だ。ここからは誰も助けてくれないぞ。自分で何とかしなきゃ。」と急に崖っぷちに立たされた気分になったことをよく覚えています。

実は、今までの人生で海外旅行に行ったことはなく、海外経験は大学生時代の留学たった1回。


しかもその時はエージェントをつけて全てお願いしていたので、空港についたら「welcome」と私の名前が書いてあるプレートを持ったおじさんがいて、空港からホームステイ先までの送迎、ホストへの引き渡しまでそのおじさんがやってくれました。

私は日本から飛行機に乗って空港に着いただけ。

後は人に任せて、気がついたらホームステイ先の部屋で爆睡。

そんな留学でした。


でも、今回のワーホリはエージェントなし。

全てを自分の力でやるんだと意気込んできたことも長期フライトの疲れですっかり忘れて、空港を出る時に、「そういえば今回はお迎えがないんだった…。予約したAirbnbまでの行き方が分からない…。」と自力でたどり着かなければならない状況を思い出しました。

さらに、日本を出る前に色々調べてもよくわからず、結局現地でSIMカードを買うのが一番分かりやすそう、と安易な考えでe-simも買わずにスペインへ渡ったので、空港を出る前に空港の無料Wi-Fiで宿までの行き方を調べなければなりませんでした。


宿に着くまで、メトロの切符売り場、ホーム、改札で色々な人に聞き、宿の最寄り駅からさらに3人、「ここに行きたいです」と宿の住所が書かれた画面スクショを見せて道を聞きました。

完全なアナログ旅。

でもこれも結構楽しいものです。


道を聞いた3人のうち、最後の1人はとてもかわいい女の子で、なんと彼女は私に道案内をしてくれただけでなく、大きなスーツケース2つとPCケース、リュックを抱えていた私に「手伝おうか?」と言ってくれて、荷物を1つ持ってくれました。

マンションについてからもインターホンの鳴らし方ひとつ知らない私を見かねて管理人と話をして、ホストへ取り次ぎ、私をホストへ引き渡して、さらにその30分後に、「また何かスペインで困ったことがあったらいつでも連絡が取れるように、インスタグラムを教えて」と連絡先を聞きに戻ってきてくれたんです。

そんなことがあるのか、と愕然としました。


私も日本で道案内をしたことはあるけれど、たいていの場合は方角を指で指し示すだけ。

たまたま同じ方向であれば、一緒に行くことはあってもわざわざ連絡先を聞くようなことまではしません。

その子と連絡をとってマドリードでのメトロ定期の買い方やお勧めの携帯ショップを聞くうちに、最初からe-simを買ってスペインに来ずに、アナログ旅してよかったな~なんて思ってしまいました。

苦労といえば苦労でしたが、今となってはとてもいい思い出です。

もちろん、日本に帰ってきた今でもその子とはたまに連絡を取り合っています。


ワーホリでの仕事

ギリギリの貯金で余裕もなくスペインへ渡ったので、到着早々、まだ家も決まっていない中で仕事探しも同時並行でしていました。

紆余曲折あり最終的には日本食ラーメン屋で決定。

そこで8か月、お世話になりました。


仕事探しは、スペインでは基本的に掲示板を見ている人が多い印象です。

スペイン語と英語のレベルによっては、ワーホリといえど企業で働く人もいて、そういう人は日本での就職活動と同じように自分のレジュメを作り、企業にひたすら問い合わせをしていきます。

そうではなくて、言語にまだ自信がない、スペインの生活に触れてみたい、といったようなライトなワーホリをしている人は、スペイン掲示板というスペイン生活でのあれこれが載っている掲示板の求人から、日本食レストランや日本語教師をする人が大半だったと思います。

私もそこから2-3件応募し、面接とトライアル(プルエバといわれています)を受けて決めました。


ワーホリでの最大の困難と克服方法

最大の困難は何といっても家探しだと思います。

スペインではとにかく気に入った家を見つけることが本当に難しい。

私も内見で合計10件近くの家を見て、2月に渡航したのに満足のいく家が見つかったのは7月でした。


初めに住んだ家は、管理人がいないタイプのシェアハウスで、5人でトイレとシャワーは1つ。

とはいえ、私が最初の入居者だったので1か月間は1人で家を占領し、快適に過ごしていましたが、中心地から離れていたので、もっと中心地に近い家を、と部屋探しを続けていました。

そんな中、2か月目3か月目と少しずつ人が増えてくると問題が次々に発生。

洗い物をなかなかしない人、洗濯機の中に洗濯物を放置する人、鍋で炊いたご飯を放置してカビを生やす人。


そして、5人もいるとトイレやお風呂のタイミングも見極めないとずっとトイレを我慢する、お風呂になかなか入れない…ということもしばしば。

入居者は私以外全員、南米出身の男性で、住んでいたエリアが少し治安の悪いところだったということもあって、部屋に鍵はついていましたが、常に警戒が必要でした。

そんな家に住んで4か月目、6月にさしかかる頃、ついに我慢できないことが発生しました。

それはずっと心配していた虫です。


以前、バレンシアに留学した時に道に大きなゴキブリがいたことを覚えていた私は、今回のスペイン滞在でもその点を一番心配していました。

スペインに着いたのは2月だったので、寒い間は虫たちも冬眠していたのか、5-6月の熱い日が続いた頃、虫たちが湧き出るようになりました。

エアコンがついているような家は高級な家が多く、私が住んでいた家もエアコンがなかった為、窓を閉めると部屋の中は灼熱地獄になります。


スペインの家には網戸がないので、窓を開けたまま眠れるように雑貨屋でDIY用の網を買ってきて窓に取り付けていました。

それでも、天井に空いたわずかな隙間から次々湧く虫たち…

最終的に私は、その網を自分に巻きつけて、さらに電気は消すと怖いので、電気をつけたまま寝ていました。


克服方法

そんな日々を過ごしながらも、いい家は必ず見つかる。

と、なぜか諦めず希望を持って前向きにいられるのがスペイン。

明るくて前向きになれるところが、私がスペインに魅了される理由でもあります。


家の情報は毎日アプリで確認して、エリアや金額を絞り、あらゆる条件を見て、実際に家を見に行って、アプリでこう書いてあるところはこう言う所が多いな、管理人がいる所といない所ではこういう違いがあるなと少しずつ傾向を掴んでいきました。

そして、自分の中で譲歩できるところと出来ないところを決めて「管理人がいる所で外向きのお部屋、エレベーターは無しでもOK」と絞っていき、ようやく理想の家に出会うことができました。

周りの友達にも「大丈夫?」と心配されるほど、落ち込むこともありましたが、同じように家探しで奔走している仲間の話を聞くことが心の支えになっていたと思います。


ワーホリでの一番の思い出

一番の思い出は、冬にスイス・ドイツのクリスマスマーケットを巡ったことです。

スペインワーホリに行って、一番の思い出がスペインではない…のですが(笑)

この冬のクリスマスマーケット巡りはスペインワーホリを決めた時から行きたいと考えていたものでした。

実際にスペインに渡ってからは苦労の連続で何度も日本に帰ろうか、と思ってしまうことがありましたが、何とか冬まで残ってクリスマスマーケットを巡りたい!そんな思いがスペインに留まって頑張れる力にもなっていたんです。


海外旅行はスペインしかしたことない、無類のスペイン好き、スペインオタクからするとスペイン以外の国に行くなんて大冒険。

準備段階からかなり神経をすり減らしました。

スペイン国内であれば、何かあっても何とかなる、スペイン語と、スペイン語が分からなければ英語、とコミュニケーションを図れる言葉が2つあるという安心感は大きいものです。


でも、スペインから一歩出てしまうと通じるのは英語のみ。その英語に自信はないので、万全の準備は心の安寧の為にも必須。

ホテル、電車のチケット、観光名所の予約のみならず、寒さ対策、食事、充電器、靴、ありとあらゆる可能性を考えて2か月ほど時間をかけて計画しました。

その甲斐あって、多少アクシデントはありつつも、全ての都市で大きな問題もなく、クリスマスマーケット巡りを遂行できました。

その経験は一歩踏みだす勇気を私に与えてくれて、今でも「なんにでも挑戦してみよう!やってみたら意外といける!」という大きな自信に繋がっています。


ワーホリを通じて得たもの

スペインワーホリを通じて得たもの

スペインで1年生活してみて得た価値観や考え方は、前向きに考える事、細かなことは気にしない事、大きくはこの2つだと思います。

日本にいる時の私は常に落ち込むことが癖のようになっていて、何もかもが嫌になることもよくありました。

自分が生まれ育った地域、家庭環境、体型、能力、全てを周りの人と比較して自分は恵まれていない、なぜ自分ばかりが、とうまくいかないことを全て置かれた環境のせいにして、持っているものに物に目を向けることができなかったんです。


また、日本社会では正しくあることが正義で少しでも他と違うことをすれば厳しい目が向けられます。

電車は決まった時間に来るべきだし、道に座り込むべきではない。

そういった「こうするべき」という考え方にとらわれ、そうでない人がいると怒りの感情が抑えられない時がありました。

なぜ自分は決まりに従って生きているのにそれができないんだ、と非難する気持ちを持ってしまうんです。


でも、世界はそうじゃない、日本がルールに厳しいだけ。そんなことは日本にいる時から分かっていたことで、海外特集の番組を見ていても見聞きすることではあります。

ただ、実感は得られない。

スペインに居た1年間、どれだけの理不尽を突き付けられたか。日本人だから、アジア人だから、女だから、そんな理由もありました。


でも実は、スペイン人でも変わらず、何人であろうと男だろうと女だろうと、誰であっても皆理不尽な目に合うときはある。

そんな時にいちいち気にしていたらきりがない、と思っているのか、しょうがないよね、そういうものだ、と言っている友人を何人も見ました。

駅のホームや町に置かれた大きなゴミ箱でおしっこをしている男性、お金を払ったのにチャージできない携帯の通信データ、宿泊2時間前に急にキャンセル通知が来る宿。

どれも日本であれば、あり得ないことですが、実際に起こったことです。


でもその度に焦りながら対処するも、なんで!どうにかして!と怒りをぶつける先もなく、仕方ないねと自分でどうにかする、もしくは、肩をすくめて、変な人がいるね(笑)と隣の人と笑ってやり過ごすんです。

誰もがなにか急なトラブルに巻き込まれても、周りの人が、「それは大変ね大丈夫?」と手を差し伸べることが自然にできる国だからこそ、何かあった時には怒りではなく、楽しもうぜ、という前向きな気持ちになれるのかもしれません。

置かれた環境や年齢も関係ない、自分のやりたいことをやるんだ、と人生を楽しむことが上手な人が多いんです。

そんな人たちと1年間触れ合っていくうちにいつしか私も自分の人生、まだまだこれから出来ることなんてたくさんある、自分が思う方向に進んでいくし、何かあってもそういうときもある、とやり過ごす術を少しだけ身に着けられるようになりました。

日本へ帰国後、再就職をしましたが、このマインドは忘れないようにしようと心に刻んで生きています。


これからワーホリする人へ

これからワーホリする人へ。

どの国に行くかにもよりますが、目的を決めることはした方がいいかなと思います。

特段何かを得る必要はありません。

何をしたいか、どんな過ごし方をしたいかをざっくり決めるんです。


それは、語学の習得でも、お金稼ぎでも、海外での生活経験、でもなんでもいい、何をするわけでもなくただのんびりと日本から離れて生活したい。

それだって立派な目的です。

スペインで1年生活したい!と意気込んできた私の周りには意外とスペイン決め打ちの人は少なく、スペインからさらに別の国へ転々と旅行しながら生活している人も居れば、海外で生活してみたい、という経験を求めて、3か月滞在して満足し帰国した友人もいました。


お金に余裕はないけど働きながら、学校に行くことを決めて最後の3か月だけ行き始めたという友人もいます。

ワーホリというと今はオーストラリアでの出稼ぎが話題になっていますが、目的によって選ぶ国も準備の度合いもかなり変わります。

英語力を身に着けて将来に生かしたい、と思っているならそれなりの準備と語学学校は必須になるでしょうし、とにかく海外に、ということであれば半年くらいはのんびりしてもいいかもしれません。


何をしてもいい、というのがワーホリの魅力です。

働いてもいいし、働かなくてもいい。

学校に行くもよし、旅行に行くもよし。

全て自由です。


ただ一つ、生きて日本に帰る、それさえできれば100点満点、と私は思っています。

なので、そのための保険の準備は入念に、あとは現地でスリ(特にiPhone)に気を付けていれば、充実したワーホリにきっとなります。


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